田中兄弟工務所に頼みたいと願ったきっかけ

日記

設計の勉強をするために過去の資料を見返していると、
田中兄弟工務所と一緒に仕事をしたいと
願ったきっかけになった雑誌が目に止まりました。

それが「住宅建築 2000年4月号」です。

私が独立をして1年と少しで、
まだあまり仕事がないときに
この雑誌に載っていた住宅の仕事を見て
いつか千葉で仕事ができたら
田中兄弟工務所に工事をお願いしたいと
思ったのでした。

設計は、本間至さん。
とても緻密で、無駄を省きながら
木造という構造と大工の技を活かした
住宅になっていました。
未熟な私でも、この設計がどれほど凄いかは
誌面からひしひしと伝わってきて、
とても感動したのを今でも覚えています。

設計の凄さもさることながら、
大工仕事の良さを感じました。
ピッシ!と決まりながら手づくりのゆらぎも感じられ
上手な建築家がフリーハンドでまっすぐ引いた線のような
そんな仕事に感じました。

「いつか、田中兄弟工務所に仕事を頼みたい!」

と、このとき強く思ったものでした。

クレジットを見ると、

先代を筆頭に、その他の大工さんが3人。
次男の満さんの名前がありました。
(たしか、担当は長男の靖司さんだったとお聞きしたような、、、)

それからなんと7年後に「ANA nHOUSE」で
一緒に仕事をすることが叶いました。
今思うと、随分と時間がかかりました!

田中兄弟工務所に見積をお願いしようと、
電話をしたらお母様がお出になって、

「いま誰も居なんです。後で、かけ直させますね」

と、おっしゃられ
三男の覚さんから電話がかかってきました。

初めて事務所でお会いしたときは、
当時、社長だった長男の靖司さんと、覚さんに
お越しいただき、私の担当は覚さんになりました。

「田中兄弟工務所の井土 覚です」

イヅチ?タナカじゃないの?

「母の兄と父が工務店を一緒に始めまして、
 母方の姓が田中で、父とは義兄弟だったので
 田中兄弟という名前になり、母の兄、つまり叔父が
 亡くなった後に父が引き継ぎましたので
 井土が田中兄弟工務所をやっているという
 ややこしいことになっています」

という説明を覚さんからお聞きしました。

事務所に来ていただく前は、
工務店の名前に「兄弟」がついているし、
あんな年季の入った大工仕事をする人たちだから
さぞ昔気質の人たちなんだろうと思って
構えて待っていたら拍子抜け、、、
とても物腰が柔らかく、穏やかで
しかも柔軟な感じを受けました。

見積のつくり方や考え方も
その印象と同じで、的確なんだけど
柔軟に対応していただけて
「さすが、仕事を知ってるな〜」
と感じました。

一緒に仕事をしてみても、これまた同じで
的確なんだけど柔軟。
そして図面を読み込んでいて
構造材を加工している段階から
仕上げを納める良い方法を教えてくれたり、
いい意味で先回りをしくれて助けてもらうことが
何度かありました(今もあります!)。

それからは、ずっと一緒に仕事をしています。

いまは、先代が亡くなり
三男の覚さんが跡を継ぎ、社長となって頑張っています。
と言っても、最初に会った時と何も変わりなく
的確で柔軟な仕事ぶりは同じです。

いまも、千葉県「ぼくらの家」という平屋を
つくってもらっています。

頼りになる工務店さんに出会えたことは
設計者として、本当に良かったと思っています。




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