玄関手摺

鎌ケ谷の家D

機能と美しさ。
もっと平易な言葉で言うと、
「必要なものをさりげなく」
となるか。

私がつくる玄関には段差があって、
乗り降りする際の補助としての
手すりが必要になる。

その手すりをどうつくるか?
が、玄関の空間がさりげなくなるかどうかの
瀬戸際のような気がしています。

この玄関は「鎌ケ谷の家D」のものですが、
この玄関は、通常の玄関ドア、
ガレージからの引戸、シュークロークの引戸と、
3方向に開口部があって、手すりをつける場所(壁)がない、、、。

何度も検討して、
ようやくこの写真の方法に決断したのでした。

斜め45度に振った位置に床から天井までの手すりを設置。
どこでも握れるという機能があり、
床から天井まで貫くことで、
手すりくささを抑えたつもりです。
が、少し手すりが強調された意匠になった気がします。
やはり「つかみやすさ」と言う機能に思考が偏重して、
「さりげなさ」と言う粋な部分が
少し犠牲になったのかもしれません。

しかし、3方向に開口部があるという条件の中で
機能的なことに少し重心は偏ったものの、
大工さんの協力もあって、なんとか野暮な手すりには
ならなかったと自負しています。

「手すりなんかつかめればいい」
と言う声も聞こえてきそうですが、
私は手すりもキチンと建築の一部になって
機能と意匠が同時に成立するところを
これからも考えていきたいと思っています。

この床から天井までの手すりの方法は、
建築家の加藤武志さんが設計された住宅で
拝見してから、真似させていただいている方法です。




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