ダイニング VS ダイニング VS ダイニング
先日のブログでは、
「玄関 VS 玄関」
というタイトルで、
同じように見える空間でも
比較してみるとだいぶ違って、
それぞれの要望や条件に合わせて
空間をつくっていることを
説明しました。
今日は平屋3題の “ ダイニング ” で
空間の違いを見ていきたいと思います。
同じように見える平屋のダイニングでも、
玄関と同様に、建主さん固有のご要望や
敷地条件などによって、
空間のつくり方は、だいぶ違ってきます。
まずは、
千葉県の平屋「ぼくらの家」のダイニングから。
既存の庭を残し、
その庭にある松もそのままの配置で
家をつくることが条件だったので、
建物の奥行き寸法が制限されました。
内部にはワークスペースをはじめ、
多くの個室が必要だったため、
単純な平屋では収まらず、
2層にする必要がありました。
安に2階建てにしてしまうと、
コストの問題が出てくるので、
「平屋+小屋裏(ロフト)」で
断面計画をしました。
建物の奥行き寸法に制限がある中、
小屋裏空間をつくるので、
屋根勾配を急にする必要があるのですが、
急すぎると断面が縦長になり、
空間の狭さを感じてしまうようになるので
(例えばトイレのような狭い床面積のときに
4メートルの天井高にしたら壁が迫ってくるように感じて
とても狭く感じることです)
できる限り、緩い屋根勾配になるように
小屋裏部屋の高さや、屋根の始まりの高さを
何度も検討して慎重に決めていきました。
その結果、少し天井は高めになりましたが、
庭とダイニングを繋ぐ大きなサッシもあって、
開放的で気持ちの良いダイニングが出来上がりました。
千葉県の平屋「鎌ケ谷の家D」のダイニングは、
ゆったりとした一人暮らし用の平屋ということもあり、
水平方向に展開する空間構成なので、
屋根はできる限り緩勾配にして、
伸びやかな印象にしました。
造園家につくり込んでもらった庭と
ダイニングが一体的になるようにも考えています。
南房総市の平屋「白子の家」のダイニングは、
“ 座して使う ”
茶の間のような使い方をしています。
柿の木や夏蜜柑の木が植った
果樹園のような庭と
ダイレクトにつながっていて
気持ちの良い空間になっています。
いずれのダイニングも屋根の構造をあらわしにした
軽快なつくりにしていますが、
屋根の勾配が違うことで、
比較してみると全然違う印象になっています。
また、座して使うのか、
椅子とテーブルのダイニングなのかで
重心の位置も変わり、感じ方も違ってきます。
やはりダイニングも、
それぞれの家族や敷地、環境、要望、
その他の条件に合わせて
その家だからこその空間をつくっていっていることが
少しでもおわかりいただけましたら幸いです。
撮影 全て小泉一斉
「知ってもらうこと」