「建具」 引出
昨日に引き続き、「建具」について
紹介していきたいと思います。
住宅(建築)において、
「建具」が空間や機能に与える影響は大きく、
見た目はもちろん、触り心地、開閉方法など
設計のときに考える要素がたくさんあります。
*「建具」とは、引戸や開戸(ドア)、襖や障子など
一般の方から “ ドア ” と呼ばれているものを意味しています。
目次
1.障子
2.木製サッシ
3.内部建具
4.玄関ドア
5.引出
6.扉、取手・ハンドル
7.アルミサッシ
今日は、「建具」といっても、
出入りのところに使うものではなく、
収納の一部である「引出」について
事例を見ていきたいと思います。
住宅で「引出」を使う場所というと、
キッチンの収納や
スタディスペースやリモートワークスペース、
書斎などの机の部分になります。
まずは、アトリエの「引出」から。
私が普段使っている作業カウンターの下にある「引出」。
コストを抑えるために、
スライドレールを使わずに、
アルミのアングルをレール代わりにしています。
「引出」の側板の中央付近に溝をつくり、
その溝にアルミのアングルを入れるやり方。
「引出」の幅が広いこともあって、
溝にアルミのアングルがつっかかり、
引き出しづらいという失敗、、、
まあ、自分の「引出」だし、
引き出せないこともないので
良しとしました。汗
アトリエの「引出」の失敗を踏まえ、
改善した方法で臨んだのが
南房総市「白子の家」のスタディスペースの「引出」。
撮影 小泉一斉
カウンター下に2箇所「引出」を設置しました。
この「引出」もアルミのアングルを
レール代わりにしているのですが、
アトリエの方法と違い、
「引出」の箱の下にアルミアングルを入れることで
引き出したときにつっかからないようにしました。
結構スムーズで上手くいきました。
埼玉県「椿山の家」の書斎の「引出」も
「白子の家」同様に、改善した方法で設置しました。
わずかな「引出」ですが、
効果は大きく、机廻りがスッキリします。
作業カウンターや机に「引出」があることが
どれほど便利で机上をスッキリさせてくれるか。
文房具や鋏、メモ用紙、イヤホンや充電器など
「引出」に仕舞っておきたいものは多く、
もし「引出」が無ければ、机の上に出てきて
散らかってしまいます。
「引出」は欲しいけど、製作費は抑えたい、、、
ということが、しばしばあります。
それをなんとかしようといつも考えているので、
費用のかかるスライドレールをやめて
アルミアングルを利用するという工夫をしています。
アルミアングルなら、見切りなどでも使っているので、
汎用性が高く、取付けも簡単です。
そういう工夫の積み重ねで、
要望とコストの折り合いをつけています。
一方、キッチンの「引出」は、
開け閉めの回数が多く、
よりスムーズな動きが求められることや
「引出」の中に重量のあるものを入れることがあるので、
レールは性能の良いものを使う必要があります。
葉山「土間から四季を、呼吸する家」のキッチンは、
ペニンシュラ型キッチンを製作しました。
シンク側には、普段使いの食器や器などを
収納する「引出」をつくりました。
IHヒーター側には、鍋やフライパンなどの調理器具や
炊飯器やトースターなどの家電も「引出」に仕舞っています。
その他、調味料や油なども縦型の「引出」に収納しました。
このキッチンの「引出」は、
建主さんとの打合せで、「引出」にハンドルを付けずに
「引出」の前板に “ 手掛け加工 ” して
スッキリ見せたというリクエストに応えました。
一部、真鍮のハンドルがついていますが、
それはタオル掛け、食洗機の扉、縦型の「引出」なので、
ハンドルを付けざるを得ない部分です。
これら、収納するもののサイズや量を
建主さんにリストアップしていただき、
打合せをきめ細かにして、
きちんと収納できるように、
そして、少し収納量を余裕を持たせ、
今後、収納するものが増えても大丈夫なように
キッチンを製作しました。
南房総市「白子の家」のキッチンも
葉山「土間から四季を、呼吸する家」と同様に、
「引出」をたくさんつくりました。
撮影 小泉一斉
こちらの「引出」は、
“ 濡れ手で触る ” 機会が多いから
“ 手掛け ” ではなくて
“ ハンドルを付けたい ” ということで、
真鍮のハンドルを全ての「引出」に取付けています。
撮影 小泉一斉
このキッチンも、
収納するのをリストアップしていただき、
何度も打合せを重ね、
建主さんにピッタリ合ったキッチンになりました。
一口に「引出」と言っても、
様々な大きさや、つくり方やがあって、
その用途にあった「引出」をつくることは
根気のいる作業です。
しかし、粘り強く検討し、つくることで、
得られる “ 自分自身にあったフィット感 ” は
使い始めたときに大きな喜びになります。
ぜひ、「引出」をつくって、
その “ フィット感 ” を味わってください!
リモートワークのときに、
「引出」があることで、作業スペースが確保され
仕事がしやすいだけでなく、
道具を探す時間も減ります。
そういう意味でも「引出」は簡単なつくりであっても
あると有難い存在です。
ぜひ、家づくりの際には「引出」を検討してみてください。
明日は、「扉、取手・ハンドル」についてです。
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