「建具」 扉、取手・ハンドル
今日も、「建具」について
紹介していきたいと思います。
住宅(建築)において、
「建具」が空間や機能に与える影響は大きく、
見た目はもちろん、触り心地、開閉方法など
設計のときに考える要素がたくさんあります。
*「建具」とは、引戸や開戸(ドア)、襖や障子など
一般の方から “ ドア ” と呼ばれているものを意味しています。
目次
1.障子
2.木製サッシ
3.内部建具
4.玄関ドア
5.引出
6.扉、取手・ハンドル
7.アルミサッシ
6日目の今日は、「扉、取手・ハンドル」についてです。
私は、基本的に出入口は引戸にするのですが、
収納などは、
観音開きの扉や引き違い戸にすることが多いです。
そのときに、扉などにつける取手やハンドルを
どうするか?既製品を利用するのか、製作するのか、
その家ごとに吟味して決定しています。
昨日の「引出」の話と重複する部分ではありますが、
キッチンの扉や引出のハンドルについても
どうするか、いつも時間をかけて検討しています。
成田市のマンショリノベーション「ひらく間」では、
扉や引出の面材を大人しめのタモにしたので、
主張の少ない
スガツネ dline ステンレス鋼製ハンドル 14-3812型
を採用しました。
ステンレス製なので、
濡れ手で触っても問題ありませんし、
掃除がしやすく清潔を保ちやすいハンドルです。
何より、スッキリしていて美しいです。
「ひらく間」撮影 小泉一斉
一方で、千葉県「ぼくらの家」のキッチンでは
ラワンで製作したので、
経年で味わい深くなるように
ハンドルは
上手工作所 真鍮細ハンドル
を採用しました。
使い込んでいくことで
ラワンも真鍮のハンドルも
味わい深さが増していくところが
これらの素材の良い所です。
千葉県「ぼくらの家」では
吊戸棚も作ったのですが、
引き違いの扉のハンドルは
建具屋さんに花梨で製作してもらいました。
薄く、長くしたことで
使いやすく、軽快な印象を与えています。
また、花梨そのものの色が
赤紫なのでアクセントになっています。
こうしたことは、製作しないと叶わないことです。
「ぼくらの家」撮影 小泉一斉
玄関の収納扉も
それぞれの家に合わせてつくり方やハンドルなどを
検討しています。
埼玉県「椿山の家」では、
面材をタモの柾目にしました。
主張しない面材なので、
ハンドルも存在があまり出てこないものを
探しました。
採用したのは、
スガツネ ANGU-A402
目立たないけど、掴みやすいハンドルです。
「椿山の家」撮影 小泉一斉
成田のマンションリノベーション
「ひらく間」の玄関収納は、
枠をなくし、引き違い戸が引き立つようにしています。
ハンドルはなく、縦に長いスリットがハンドルの代わりです。
このスリットは、開け閉めのためだけでなく、
収納内部の通気を促すためのものでもあります。
「ひらく間」撮影 小泉一斉
千葉県「ぼくらの家」の玄関収納は、
観音開きの扉に
花梨のハンドルを
建具屋さんに製作して取付けていただきました。
墨色の扉に赤紫の花梨のハンドルが映えています。
大きめのハンドなので掴みやすく、
花梨の丁度良い硬さが手に馴染みます。
室内の収納にも扉を付けますが、
扉自体の存在を消して空間に馴染ませる
ように考えることがあります。
南房総市「白子の家」の扉も
そのような考えでつくりました。
写真の左手側の梯子の下にある白い扉がそれです。
扉自体の存在を消しているので
ハンドルもありません。
その代わりに扉を欠き取り、
手をかけられるようにしています。
これは、この写真を撮ってくださった
小泉一斉さんに教えていただいた方法なのですが、
取手やハンドルが出っ張ることもなく、
扉を壁に同化させたいときは、
とても良い方法です。
「白子の家」撮影 小泉一斉
今回紹介した扉の方法は、
ほんの一部ですが、
工夫次第で空間に馴染ませることや
機能的につくることができるということが
お分かりいただけましたら幸いです。
扉のつくり方次第で
室内の雰囲気が大きく変わることがありますので
どうつくるかを考えることを楽しみに
設計をしています。
この楽しみを建主さんと共有できるのが
家づくりのいい所だと感じています。
明日は、最終回になります。
家づくりに欠かせない「アルミサッシ」について
お話をさせていただきます。