テーブルの味
テーブルの “ 味 ” と言っても、味覚の方の味では無くて、
使い込んでいくことで出てくる “ 味わい ” のこと。
アトリエのテーブルは、5年間に大工さんにつくってもらったものです。
天板は、ラワンランバーコアにウォールナットの定規を埋め込んだもの。
脚は、ウォールナットでつくってもらいました。
こんな感じのテーブルです。
結構使い込んで、角は少し丸みをおびてきました。
天板の側面には “ 大手(おおで) ” と呼ぶ厚さ6ミリ程度のラワンの板を張ってあります。
ラワンの特徴として、繊維方向で裂けやすいこともあり、
この様に、ところどころ削れています。
これも狙ってできたものではなく、唯一無二の柄です。
あ、下の写真は、私がつけてしまったキズです、、、汗
アイロンを当ててふくらましてはみたものの、
切れた繊維は戻らず、少し凹んだままになっています。
気持も凹みました、、、
普段、このテーブルで手紙を書くことも多く、
万年筆をつかっているのですが、
青いインクがテーブルのところどころに付いています。
これも “ 作業テーブル ” として相応しいというか、
こういうインクの跡は、味わい深くて好きな汚れです。
先日、勉強会にお越し下さったご家族の1歳のお子さんが
残していった「作品」です。
子供には、紙の上とテーブルの区別は無く、
すべてがキャンバスだということです。
絵を描くために用意した紙に勢いよくボールペンで
思いのままに描いていたところ、その紙からはみ出し
テーブルの上に描きこんでいった。
「ここは、描いちゃダメでしょ!!」って、
お母さんがその手を止めたので、このはみ出した線はここで終わった。
この線は、あの紙に描かれていた線と一体的なものだったのに
あの紙が無くなり、この線だけが残った。
やっぱりこの線は、そういう想い出をつくった作品なんです。
何と言っても、そのときのことをこうして忘れていないのですから
これは単なる線とは全く違いますよね。
これからも、大事に使って、もっと味わい深いテーブルにしていきたいですね。
「穴川のアトリエ」ブログ