外壁

日記

設計していて悩む一つとして「外壁」があります。

いま設計中の住宅でも外壁を何にするかをもの凄く悩んでいるところです。




なので、いままでつくってきた住宅の外壁を見直してみたいと思います。




■南房総でつくった平屋の「白子の家」。

この家は、地元千葉の杉板を使って “ 下見板張り ” にしました。

同じ敷地に建っている御母屋も下見板張りなので、

それとトーンをあわせることと、外壁板に陰影をつけ水平ラインをだすため、

そして水切れを良くして耐久性を上げるためです。

同時に軒を深くし、外壁の劣化を防いでいます。


■四街道市に建てた2階建ての「四街道の家」。

軒の深い2階部分を “ 杉板縦張り ” の外壁にしています。

1階部分は、

軒で守ることが出来ないので “ ガルバリウム小波板 ” を張って仕上ています。

杉板は本実になっているので、一枚一枚の板がしっかり組み合わさり

隙間が出ないようになっています。

1階部分は、雨がもろにかかるので、ガルバリウムの仕上にして

素材そのものだけで、自然と対峙しています。

上下で仕上を分けることで、ボリュームを抑えた印象を与え

周辺に対して、圧迫感を軽減しています。


■比較的に建て込んだ千葉市の住宅地に建つ「おゆみ野の家」。

間口が限られ、隣家も迫り、軒を深く出すことが出来ない環境です。

そういう環境なので、いっそのこと軒は一切出さず、

外壁面で屋根を止めています。

ですので、屋根に守られることなく、

外壁そのもので耐候性のある仕上にする必要がありました。

そこで選んだ外壁が “ ガルバリウム一文字葺き ” です。

水切れが良く、素材自体もガルバリウムですから問題ありません。

一枚一枚を板金屋さんが手で折り、手で取付けていく仕上は

鋼板という堅い素材なのに、人の手のぬくもりを感じる

柔らかな印象の仕上になりました。


■埼玉県蓮田市の梨畑が広がる中に建つ「蓮田の家」。

建て主さんのご希望もあり、木と濃い色の板金の組み合わせになりました。

ここで採用した外壁材は、開発されたばかりの新しいもので

見た目と意匠性を追求した “ ガルバリウム三角波 ” の板です。

小波板よりもシャープで塗装も艶を抑えつつテクスチャーを付けた

高級なガルバリウム鋼板です。

角も板金を被せることなく、そのまま直角に折っているので

シームレスでスッキリしています。


■千葉県印旛郡の田んぼと緑に囲まれた中に建つ「印旛の家」。

大きな敷地の中に建っていた御母屋の建て替えをしました。

やはり軒を深く出し外壁を保護しています。

周りの環境もあって “ 杉板縦張り ” の外壁にしています。

大きな屋根に守られ外壁は味のある表情に変わっていきます。

奥に建っている “ 離れ ” も下見板張りなので、相性も良いです。


■西船橋の駅からほど近い大きな敷地に建っている「西船の家」。

御母屋や納屋、作業小屋と立派な庭に囲まれた中にあります。

大きな敷地ではあるものの、

既存の桜の木や作業小屋に建てられる範囲を限定され、

西側は軒を出せない環境にありました。

そこでその部分は “ ガルバリウム小波板 ” にして外壁そのもので

耐候性をもたせることにしました。

それ以外の部分は、建て主さんのご希望もあり “ 杉板縦張り ” の

がいへきにしています。

こちらの御母屋も下見板張りでしたので、

西船の家との相性はとても良いものになっています。


■田園風景の中に建つ千葉市の「アオハダの家」。

建物の外形は北東に広がる美しい田園風景を望むためのカタチをしています。

平屋部分を “ さわら板の縦張り ” にしています。

その他の部分は建て主さんのご希望で全て “ ガルバリウム小波板 ” で仕上ています。

さわら板は、風呂桶や御ひつにも使われるなど、水に強い木材です。

その板を平屋部分に使うことで、ボリューム感を抑えています。

耐候性を考えてのガルバリウム小波板という選択だと思いますが、

北側の田んぼからの湿気などには効果があったと思います。


■ひな壇状の敷地に建つ船橋市の「三山の家」。

ひな壇状の敷地は、道路から高く、東側は隣家の擁壁が迫っています。

しかし、それほど圧迫感のある環境でも無く、上手く土地を探されたと思います。

ただ、やはり軒を深く出すことは難しく、ここも軒を出さないことにしました。

その代わり、外壁を “ ガルバリウム角波 ” にして、軒の出が無いことを

外壁の素材でカバーしています。

ただ、どうしてもガルバリウムだけでは固く冷たい感じになるので、

道路側の庇や窓廻りに木を使いました。

また、小さな窓を木製にして、温かみのある表情にしています。


■千葉県いすみ市の別荘地に建つ「大原の家」。

深い軒にして外壁を “ 火山灰の土壁の櫛引仕上 ” にしています。

土壁櫛引は、周りの環境とも相性が良く、風景に馴染んでいます。

また、この土壁は、土壁そのものの色なので、退色することがありません。

しかも、この土壁は、壁の中に入り込んだ湿気を外に出すことできるので

建物の耐久性も向上させてくれます。

櫛引の陰影が良い表情となり、外観をより良くしてくれています。


■木更津の新興住宅に建つ「ANA nHOUSE」。

中庭形式にして、外部である庭を家の中に採り込む様なつくりになっています。

当初、土壁の提案をしていましたが、

建て主さんのご希望もあって “ 断熱材付きガルバリウム角波 ” の外壁になりました。

断熱材が付いていることで、断熱性能が向上することはもちろん、

ガルバリウムそのものが熱によって伸縮するのを

軽減させているのではないかと思います。

戸袋の板とガルバリウムが調和する様な外観になっています。


■千葉市の新興住宅地に建つ「BB HOUSE」。

こちらの家も中庭形式の住宅になっています。

周辺には真新しい家が建ち並び、若々しい印象でした。

角地であることもあって、目印にもなる様な印象的な外観を目指しました。

建物の形状もあって色は黒、そこに木を組み合わせています。

選んだ外壁は “ サイディング+木の押縁 ” でした。

サイディングは無塗装板を張り、現場で塗装し、

その上に木の押縁を取付けています。

サイディングの問題は、コーキングの劣化と、

かまぼこ状の変形です。

コーキングの上に押縁を被せ、紫外線から守り劣化を軽減させています。

また、サイディングの真ん中を押縁で押え、かまぼこ状の変形を

抑制しています。

正面から見ると黒い部分が多く見えて、黒の印象が強く、

斜めから見ると、

押縁の茶の色が多く見えて茶の印象が強くなるという

見る方向によって変わる外壁になっています。




こうして、見返してみると、なぜその外壁を選んだのかが

少し整理できたように思います。

それと、外壁は外壁だけでなく、軒の出と同時に考えることが

やはり多いんだということです。

同時に、周辺環境や建ち方によっても外壁の選択が

変わってくることを再確認しました。




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