屋根付きバルコニー
今日は、久しぶりに雨が降りましたね。
これで少しは乾燥状態が解消されるといいのですが。
生活をしていると、雨が降ると困るときがあります。
洗濯物を干したいときの雨。外出中、洗濯物を干しているときに突然の雨。
そんなとき、物干スペースに屋根があると助かりますよね。
以上、写真3点 撮影:STUDIO DIO/白石隆治
「蓮田の家」では建て主さんより要望があって、
バルコニーにアクリルの屋根をかけて
雨が降っても洗濯物が濡れないようにしています。
なんてことない様に思うかもしれませんが、
実は、これを実現するのは意外と難しいのです。
法律的にも、技術的にも、金額的にも。
まず、“ 法律的 ” には、防火地域はもちろん、22条地域でも
アクリル屋根は違法になります(アクリルは不燃材では無く火に弱いので)。
「蓮田の家」は、防火地域でも22条地域でも無かったため
アクリル屋根が可能でした。
(※ほとんどの敷地は22条地域以上の制限を受けています)
現実的には、この部分が火事で燃えたとしても、その他の部分が
不燃材または防火構造になっているので、それほど大きな被害になるとは
考えづらいのですが、法律はそういうことを許してはくれません。
22条地域だった場合は、ガラス屋根にする必要があります。
ガラスは不燃材ですから問題無いわけですが、
屋根にガラスを使う場合は、割れることを考慮しておかなければなりません。
網入りにするか、割れても飛散しないものにするなど。
「アオハダの家」は22条地域でしたので、
ガラスを使いました。このガラスは特殊なガラスで飛散しにくくなっています。
※防水は、コーキングだけに頼る様なことにはしていません。
続いて、“ 技術的 ” な問題ですが、
雨を漏らさないようにしながらアクリル又はガラスを留めなければなりません。
風で屋根が飛ばされないようにしっかり留める必要があるのですが、
強固に留めようとすると、余計な部材が多くなって、透明な部分の面積が減り
野暮ったくなってきます。ですから、構造的なことを満足させながら
意匠的にも変にならないようにするために、どうやって留めるのか?
それを考えることは結構難しいことなのです。
法律的に、そして技術的に難しいと言うことになると、
“ 金額的 ” な問題が出てきます。
例えば、22条地域で法律に適合する飛散しにくいガラスは高価ですし、
しっかり留めながら見た目を変にさせないようにするためには、
特殊な部材をオーダーしたり、工程が複雑になり人件費がかさむようになります。
こうして工事費がアップしていきます。
出来あがったものを見ると、なんてことないように見えるのですが、
それは「なんてことないように見えるようにつくっている」からなのです。
現実には、そこに相当な労力やお金がかけられているのです。
「蓮田の家」も「アオハダの家」も、実現するには大変な苦労をしました。
しかし、どちらの家も苦労してつくった甲斐がありました(と、思います!)。
「蓮田の家」は、共働きですので、朝洗濯をして、ここに干して行きます。
雨が降る心配をすることなく洗濯物を干して行けます。
小さな子がいる「蓮田の家」の建て主さんには、とても助かる屋根だともいます。
「アオハダの家」は、このガラス屋根の下が中庭スペースになっていて、
そこでサーフボードの手入れをするほか、洗濯物を干したりしています。
そればかりか、椅子を置いてアウトドアリビングとしてもお使いになっています。
アクリルやガラス屋根にすることは大変なのですが(特に金額的に、、、)、
検討してみる価値はあると思います。