空間をいただく

日記

ちょっと生意気で真面目な話を書きますがご容赦ください。


建築を「設計する」って言うと、何畳の部屋をいくつどこに配置するか。

間取りに影響を受けつつ、外観を格好良くするにはどうするか。

柱を桧の4寸にして、框は栗か欅にするというように

材料を決めることだという印象が強いんじゃないでしょうか。


これ、料理に置き換えると

品数をどうするか?どうやったら皿からはみ出ないように載せられるか?

盛り付けのときの飾りをどうするか?

やっぱり本マグロを使おうね。あと、アワビね。

みたいな話なんです。


品数という「量」よりも、

少ししかないけど美味しいという「質」が大事ですし、

皿からはみ出ないようにというよりも、

皿と料理の「バランス」が大事ですし、

ギューギューに載せられていたら箸を入れづらいので

適度な余白も必要になります。

料理を引き立たせる飾りも、

度を越せばメインの料理をダメにしてしまいます。

本マグロやアワビは美味しいけど、

高くて費用が掛かります。

しかも素材自体は美味くて当たり前です。


ある程度満足できる量を用意しつつ、

味の質を高めて美味しい料理にする。

バランス良く盛り付け、

料理が引き立つように脇を固める飾りがあって、

高級とは言えない食材でも、

その持ち味を活かすことで料理としては高級なものに仕上る。

もちろん、これ以外にも、食べる人の体調を考えたり、

旬のものを料理に取り入れたり、

料理には、そういうことも大事なんだと思います。

そういう料理を食べていただく。

というのが、料理の世界だと思います。


建築も、それと同じで、

床面積を大きくすると言う「量」よりも、

適度な大きさ(感覚的には少し小さめ)にして

心地良いという「質」を高めることが大事ですし、

敷地全体に建てるよりも、庭を設けて

内部と外部の「バランス」を良くした方が

風通しも良くなりますし、陽だって入ってきやすくなります。

装飾だけで外観を決めずに、建物全体のプロポーションを

考えるようにしたいです。


建築の設計とは、規模や形状を決めることであり

材料を何にするか決めることでもありますが、

料理がその味をつくるように、

設計は空間をどうつくるか考えるものです。

住宅や建築を使うと言うことは

「空間をいただく」ということです。

毎日使うものだから、キチンとつくりたいものです。

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