当初プランたち
うちの事務所では、最初のプランをご提案する前に
ご要望などをお聞きし、ご自宅へ伺い収納量を確認しつつ、
持ち込み家具の採寸をしてからプランをつくり、
模型やCGを作成し、初めてのご提案となります。
全くもって最初のプランを叩き台だとは
思ってつくっておらず、このまま建築しても
良いという気持ちでプランをつくっているのですが、
こちらの勘違いだったり、
具体的になったことで、考え方が変わるということがあって
当初プラン通りに行くことはほぼありません。
(全然違うということもありません。本筋の部分は変わらずに
組み合わせが変わるというような感じです)
ただ、この段階では、
「私(野口)が、建主さんに成り代わる」
という気持ちでプランをつくるからこそ、
建主さんの気持ちがわかってくるということもあるので
ここで、建主さんと私の感覚のずれが生じることは
ある意味、良いことだと思ってやっております。
そんな気持ちを持ってやってきた住宅の当初プランを
少しご紹介します。
上記しましたように、最終的にできた住宅とは
違う内容になっておりますが、
これから家を建てようとされる方の何かの参考になると
幸いです。
まずは、
鎌ケ谷市「趣味と暮らす家」の当初プラン。
ポーチの上に吹き抜けをつくり、
外観を整えようとしていました。
ご夫婦のための住宅で、あまり広すぎないような
空間構成にしながら南からの採光と風を採り込むことを
考えていたプランでした。
2階にこの家の特徴となる趣味の部屋であるオーディオルームや
セカンドリビング(最終的には部屋の名前は変えました)が
ゆったりとしたサイズで設けられています。
コストを抑えるためだったり、
建主さんの使い方に合わせるためだったりという理由で
この当初プランは変化していくことになりました。
つづいて、
印旛郡の平屋「DL HOUSE」の当初プラン。
建主さんに、だいぶ気に入っていただいたプランでした。
が、このプランで駐車スペースになっている部分に
既存の井戸ポンプがあって、ここには駐車できないのでは?
ということで駐車場の位置を変えたり、
コストを抑えるために規模を小さくする必要があって
かなり面積を減らしました。
その上で、将来の家族構成の変化や
暮らし方の変化に対応するために
間仕切り壁を取れるようにしながら
その時のためのレイアウトも考えたりと、
当初プランは変化していくことになりました。
完成した現在も中庭は健在で、
この家に贈られたプレゼントのような
存在になっています。
アプローチも、建主さんと話し合って
もっと趣のあるつくりになりました。
次は、
東金市の平屋「HB HOUSE」の当初プランです。
大きな敷地で、真南に家を向けて建てようとしたプランです。
北側に別棟で家具工房があるのも特徴です。
ご夫婦のための平屋で、至ってシンプルなプランです。
玄関とリビングの間に引込戸を入れて、
冬場の寒さをリビングに入れないように
していたプランですが、建主さんから
「玄関入ってすぐリビング」というようにしたいと
そのようなご要望が出てきてプランは変化していきます。
キッチンも土間にされたいなど、床に段差が生じる変更もあって
プランは変化していきました。
このプランでも住宅棟のサイズは、かなり絞っていたのですが、
さらにサイズを縮小しようとプランが変化していきました。
このプランをつくる際にも建主さんからお話があったのですが、
いつもなら造作でつくる家具は、建主さんが暮らしながら
北側の工房棟でお造りになるということで、
このプランの時は、おおまかな家具のサイズのみ図に落としておき、
全体のスペースを確認していきました。
このプランよりも出来上がった住宅は小さいのですが、
全然小さい感じはしませんでした。
もしかしたら当初プランのままだったら
少しオーバーサイズに感じたのかな?
それとも、ゆとりがあると感じたのか?
どうだったんでしょうか。
そして、
八千代市「平屋22」の当初プラン。
北と東に隣家が迫り、南側は道路、
西側は隣家の家庭菜園として大きく土地が空いている
という環境で、南西に開くプランを考えました。
駐車スペースをアプローチとして使い、
駐車スペースの途中まで軒をのばし、
自転車や趣味のアウトドアスポーツのグッズを
置くという計画です。
車を降りて、あまり雨に濡れずに家に入れるということも
意識した案です。
東側は隣家が迫っていたので、
窓は小さな地窓だけにして、
玄関は閉じた空間にしました。
建主さんは、東側に開く家にされたいということで
隣家をできるだけかわすように、東側の空間を
南側に張り出させるなどプランは変化していきました。
「平屋22」のプランという物語の大筋は変えずにも、
図柄としては大きく変更されていきました。
出来上がった住宅は、将来のことまで検討された
内容になっています。
「平屋22」という
この「22」という数字の意味はいくつかあるのですが、
その一つが規模を示す22坪という意味です。
22坪とは思えない広さを感じる平屋になりました。
今回最後は、
現在見積中の袖ケ浦市の平屋「紅の家」の当初プランです。
この家の少し前からプランはiPadで描くようになりました。
市街化調整区域を開発してできた住宅地。
敷地内には洪水を抑制するためだと思われる
雨水貯留槽が設置されていて、その周囲の大きな範囲が
建築することができないものとなっていました。
その範囲を避けつつ、敷地全体をなるべく使おうと
考えた当初プランです。
建主さんは、建築フリークで、とても詳しく
「レーモンドの夏の家のようにしたい」
とお話があったのですが、内部空間は
建主さんが暮らすのに必要なものを入れつつ、
外観は夏の家を意識しました。
ダイニングの上にはロフトを設けています。
薪ストーブをリビングに置くプランでした。
子供部屋の位置が変わり、薪ストーブがなくなり、
玄関周りも大きく変わりました。
LDKの関係性も大きく変化していきました。
現在見積をしている内容は、
大筋はこの当初プランと同じですが、
図柄は大きく変化しています。
この家はまだ完成していないので
出来上がった感じを書くことはできませんが
どんな平屋になっていくか楽しみです。
その前に、見積金額がどうなるか、、、
不安でもあり、早く出てきてほしくもあるという
そのような段階です。
当初プランを見てきてみると、
かなり力を入れてプランしていた当時のことが
思い起こされます。平面的にみると
単純に見えるプランですが、
立体的になってくると意外と複雑で
変化のある空間になっています。
納まりもかなり吟味しているので
密度の濃い空間になっているのではないと
自分では感じています。
実は、少し前からヒアリング後に
最初の提案という方法はやめて、
ヒアリングしたらまずは「ラフ提案」をする
という方法に変えています。
プランの提案の前にラフ提案をしてしまうので
プラン提案の際の良い緊張感は損なわれるものの
建主さんにとっては、ご意向がかなり反映された
プランの提供を受けることができるメリットが
ありますし、我々も当初プランからの変更が少なくなり、
当初プランでつくった模型やCG,図面等資料を
プラン後の仕事に引き続いて使いやすくなるという
メリットがあって、そのような方法に変更しました。
家づくりには、それぞれの建主さんにとっての
ストーリーが展開されていき、
唯一無二のイベントになります。
上のプランをご覧いただいておわかりのように、
同じ物語はありません。
それは当然で、主人公が違うからです。
そのような物語(家づくり)にご興味ございましたら
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