昔ながらの塀
現場の近くにあるお宅の塀。
普通の人には、古くて頼りなく見えるかもしれません。
もちろん、見るからにできてからだいぶ経っているので
古いのは間違いないと思いますが、
私には、とても智恵が効いていて、
しかも味のある塀に見えます。
この塀は「大和張(やまとばり)」と言って、
横に入れた貫(ぬき)という木材の両面に
板を縦に互い違いに張って、
道路からの視線は止めるけど、風は通すように
なっています。
なので、庭空間や室内はこの塀によって
外部から見えないようになっているから
落ち着きが生まれ、しかも風は入ってきて
快適な環境がつくられます。
そして、もう一つ特筆すべきは、
柱がコンクリートの万年塀のものを利用している点です。
塀をつくるとき、一番頭を悩ませるのは
柱をどうするか?なのです。
木でつくると、紫外線や雨で朽ちてしまうので
相当な配慮が必要になってきます。
ですので、朽ちづらい材料を選ぶことになります。
私たちの場合は、アルミを利用することが多いです。
この塀は、万年塀のコンクリートの柱を利用し、
貫を通し、大和張を実現しています。
コンクリートの柱なので、地面に埋めても
腐りづらく、しかも私には、
この木の塀にあっているように感じました。
確かに木で塀をつくるのは、メンテナンスなど
手入れをしていく必要があって大変かもしれませんが、
道路との境に味気のないアルミ材の塀があるのは
その街にとって、あまり嬉しくないことではないかと思います。
それよりも、誰かが手でつくった木の塀があったほうが
なんとなく気持ちがいいような気が私はします。
もっとそういう部分を気にかけていって
空気感のある通りが増えるといいなと思いました。