板張りの外壁とは?杉板(下見板・縦張り・焼杉)の種類を実例で解説

平屋22, DL HOUSE, 私の巣, ぼくらの家, 土間から四季を、呼吸する家, 白子の家, 四街道の家

板張りの外壁には
下見板張り、縦張り、焼杉など
いくつかの種類があります。

今日は
外壁を板張りにしようか
ご検討している方に
板張りの外壁について
解説します。

いままで私が
設計してきた家を
ご覧いただきながら
話を進めていきます。

その前に、
板張りの外壁には
張り方のバリエーションが
あるのですが、
ここで紹介するものは

1)下見板張り
  板を横に鎧状に張っていく方法。
  水切れがよく、壁体内の湿気を
  外に排出しやすい。
  張るのに手間がかかり
  費用がかかる。
  全て張り終わったところで
  化粧釘(真鍮など)で
  正面から留めていきます。

2)縦張り(本実板を使用)
  本実形状になった板を
  縦に張っていく。
  本実になっているので
  仕上がりで釘が見えない
  すっきりとした仕上がり。

3)縦張り(相決り板を使用)
  相決り形状になった板を
  縦に張っていく。
  正面から化粧釘(真鍮など)で
  留めていきます。

この3つの方法を実例で
見ていきます。

南房総市の平屋「白子の家」の杉板の下見板張りの外観
南房総市の平屋「白子の家
(写真 小泉一斉

この平屋は、地元の千葉の杉を使って
「下見板張り」の外壁にしています。

節の少ない杉板を使っているので
見た目が大人しく見えます。

塗装は、
防腐保護剤である
「ウッドロングエコ」を
建主さん自ら塗り、
大工さんに張ってもらいました。

ウッドロングエコは3回塗りを
しています。
割れなどが出たら、そこに
ウッドロングエコを塗って
いただくことはありますが
塗り替えし不要でほぼノーメンテ
となります。
というか、もうメンテナンス
できないというか、
経年変化を楽しむ塗装となります。

出っ張っている角の部分を
「出隅(ですみ)というのですが
そこは板を互い違いに切り口を
見せる方法ですっきりとした
外観になっています。
(このやり方が手間のかかる部分です)

軒が出ているので
同じ外壁面で雨がかかる部分と
かからない部分があります。
雨がかかる部分は、埃などの汚れが
雨で流されるのですが、
雨がかからない部分は
汚れが残っている状態になります。
それを高圧洗浄で洗い流そうとすると
マダラ模様になってしまうので
洗う場合は、普通にホースで水をかけながら
ブラシをかけるのが良いと思います。
実際、こちらの建主さんは、
高圧洗浄で外壁を洗って、
一部、外壁がマダラになり
すぐにやめたとおっしゃって
いました。

伊勢原市の平屋「私の巣」杉板下見板張りの外観
伊勢原市の平屋「私の巣
(写真 金田幸三

この平屋も同じく「下見板張り」
の外壁で、同じように
「ウッドロングエコ」を建主さんが
全て塗りました。
もちろん、張ったのは大工さんです。

こちらで使った板は杉板なのですが
当初は節の少ないものを
予定していましたが
見積をしたら予算オーバー
になったので、工務店さんの提案で
節のある厚板を削って使うことに
なりました。
ですから節が結構見えて
杉板らしい外観になっています。

同じ樹種で、同じ塗装で
同じ張り方でも見え方が
違ってきます。

印旛郡の平屋「DL HOUSE」山武杉の下見板張りの外観 化粧登梁の軒下
印旛郡の平屋「DL HOUSE
(写真 小泉一斉

こちらの平屋も
杉板の下見張りですが塗装は
「プラネットカラー スタイリッシュ」
を使って着色しています。
着色しつつも木目が出る仕上がりで
板張りらしい外観になっています。

また、この杉板は
地元の名木、山武杉を使用しました。

外壁の杉板以外に見えている木部は
クリア塗装としてメリハリを
つけています。

先ほどの2つの事例と違い
外壁の杉板に色をつけると
また印象がガラッと変わります。

こちらの塗装は、
顔料が多く入っていることで
紫外線からの劣化がだいぶ少ない
ということで、実質、10年くらいは
塗り替えす必要がないという
営業トークでしたが、
この塗料を塗った杉板のサンプルを
メーカーさんからいただき
アトリエの外に置いておいたのですが
4年目くらいから少し色が抜け始め
5年くらいで白っぽくなっていきました。
しかし、見た目的には見苦しさはないので
この程度では塗り替えす必要がない
という印象です。
5年目以降は、塗装自体の変化は
あまりなく、杉板に少し割れが
出てきました。
多少の割れは仕方ないので、
その部分に再塗装を施して
いただくというメンテナスが
必要かなと思います。

八千代市の平屋「平屋22」杉の下見板張りの外観 米杉の板塀
八千代市「平屋22
(写真 小泉一斉

この平屋も杉の下見板張りです。
節の少ない杉板を張りました。

玄関周りなど
「出隅」が多く、
大工さんが苦労して
張ってくれていました。

塗装は、やはり
「プラネットカラー スタイリッシュ」。
この平屋の場合は建主さんと
一緒に芸碧色をサンプルを取りながら
検討し、顔料を2種類調合した
オリジナルカラーで塗装しています。

2年ほど経ちましたが
色の変化はあまり感じません。

葉山「土間から四季を、呼吸する家」杉板の縦張りの外観 離れがある
葉山「土間から四季を、呼吸する家
(写真 小泉一斉

こちらは、
主屋と離れ(小屋)で構成される
住宅になっています。

主屋も離れ(小屋)も
外壁は節ありの本実形状の杉板を
縦にはり、
「ウッドロングエコ」を塗って
仕上げた外観になっています。

凹凸が無いので
すっきりとした印象の外観です。

本実形状の杉板なので
もし乾燥して多少杉板が縮んだ
としても実が外れなければ
隙間が開くことはありません。

また、本実形状ですから
写真で見てわかるように、
釘が表面に出てきていないので
綺麗な仕上がりになっています。

こちらの住宅は
経年変化で杉板の外壁が
かなりグレーに変化していました。

いずれの板も
必ず炭化する運命なので
グレーに変色していきます。
「ウッドロングエコ」は
そもそも塗り立ての段階で
表面を炭化させているかの如く
感じる保護塗料なので
単価のスピードが速いのかもしれません。
板は、炭化することによって
腐らないように自己防衛して
いると考えられていますので
炭化自体は、耐久性の観点からは
悪いことではなく、
むしろ良い変化と考えられています。


四街道市「四街道の家
(写真 小泉一斉

こちらの住宅は
1階部分をガルバリウム、
2階部分を杉板を縦張りにして
「ウッドログエコ」を塗った
外壁仕上げにしています。

やはり、軒の出で雨が当たらない部分は
汚れが流れずにそのままになっています。
雨が当たる部分は汚れが流れますが
紫外線の影響も受けています。
私は、その姿を見て
味わい深さを感じています。
人工物では出せない表情があると
思います。

仮に、経年変化を「劣化」として
考えたとしても、
なんら建物自体に影響を与えていません。
外壁自体が腐ったりしていませんので
雨水が侵入してくるとか
構造的な問題が出るということは
ありません。

いまでもこの住宅は、
人工物でつくられた住宅が建ち並ぶ
住宅地で、味わい深さを醸し出して
一際、異彩を放っています。


千葉県の平屋「ぼくらの家
(写真 小泉一斉

ご両親の家が建っていた場所に
建て替えをした平屋です。
庭は、ご両親がつくられ育てた
そのままを残して活用させて
いただきました。

この平屋は
外壁に相決りの焼杉を縦張り
したものです。

正面から真鍮釘を手で打って
留めています。

なんと言っても
焼杉はその表情が独特です。

先ほどの住宅の説明でもしましたが
炭化することで本質的な劣化
(中身が腐ったり、虫食いの被害など)
をなくすようになっていると。
焼杉は経年で炭化するのを待たずに
人間が強制的に表面を燃やすことで
炭化させてしまうというものです。

なので、見た目のために
焼いているわけでなく
耐久性を上げるために焼いていることが
見た目の個性をつくっている
ということになります。

焼杉を外壁に使う場合、
その煤が雨で流されてしまうことが
あるので、それをできる限り防ぐために
軒の出を深くしておくことが大事です。
この家もだいぶ軒を出しました。
(90センチから180センチ)

そして意外と材料費がお手頃
というのも焼杉の特徴です。
現場での塗装もなく、
張ったらお仕舞い、というのも
ありがたい材料です。




こうして色々なバリエーションの
板張りの外壁を見てきましたが
板張りの外壁にするためには
「燃えない外壁」にする必要が
あります。
そのためには、
板張りの外壁の下地というか
面材を燃えない性能のものに
するということです。
具体的には防火認定されて
いるものということです。
色々な面材がメーカーから出ていますが
板張りで防火認定を受けられるものは
限定されいます。
認定条件をしっかりと確認して
選定する必要があります。

板張りの外壁の家に
憧れている方は多いと思います。

杉板の外壁は
張り方や塗装によって
家の印象が大きく変わります。

ただ、板張りの外壁は
材料を選ぶだけでは成立しません。

張り方
軒の出
納まり
防火認定

こうしたことを
設計全体で考える必要があります。

私はこれまで
千葉や神奈川を中心に
多くの板張りの住宅を設計してきました。

敷地条件や暮らし方に合わせて
その家にふさわしい
板張りの外壁をご提案しています。

板張りの外壁の家を建てたいと
お考えでしたら
ぜひ一度ご相談ください。

「事前相談」お申込み

その他の板張りの外壁や
板張り以外の外壁の
設計例」もあります。

平屋の化粧垂木について
「平屋の設計で私が化粧垂木を採用する理由」
というブログを書いています。
ぜひ、こちらも読んでみてください。

家づくりをお考えの皆さまへ

事前相談・資料請求できます。
どのような考えで設計し、家づくりをしていくかをお話させていただくと同時に、設計期間や工期、大よその総工費についてご説明させて戴く「事前相談」を行っております。
進め方などの資料のみのご請求も可能です。

事前相談・資料請求お申込み

関連記事一覧