敷地選び

アオハダの家

家を建てるには敷地がないと始まりません。
しかし、この「敷地」探しはとても難しい、、、。
便利で整っている敷地は扱いやすいけど無個性にも感じます。
そして価格も高め。
駅から離れた自然環境の良い敷地は
伸び伸びとしているけど、設備がなかったり、
敷地自体は安いけど水道や下水に費用がかかったりします。
要は、敷地というのは100点満点なんてものはないし、
どんな敷地にも、その敷地なりの良いところがあるので
それを伸ばしていくということが大事になってくるのではないかと
私は、そう思って設計をしています。

私が設計した千葉市「アオハダの家」は、
建主さんがすでに敷地を購入されてから
設計のご相談がありました。

敷地は、千葉市の市街化調整区域にあり、
敷地形状は三角形に近い形をしていました。
市街化調整区域ですから基本的には
家を建てることができないのですが
もともとこの敷地に建物が建っていたことで
「既存宅地」ということになり、
家を建てることが可能になったのでした。
(*かなり説明を省略していますが、
既存宅地という制度は2001年に廃止されていますが
それに変わる救済措置によって建築が許可されました)

市街化調整区域でも、一定の条件を満たすことで
家を建てることが可能になります。
そのための手続きなど、申請や許可は大変ですが
土地の値段はかなり安くなっているケースが多いです。
市街化調整区域は、その名の通り、
市街化を調整して自然環境を守ろうという地域ですから
人が住むことを想定していないので、上水道や下水道が
整備されていないことが多い地域です。

「アオハダの家」の敷地は、下水道は敷地内にあったものの
上水道は前面道路にも無く、井戸を掘り生活水にしています。
もちろん、水質検査をして問題ないことを確認しています。

比較的広い約130坪の敷地面積です。
北に杉や栗の木が立ち、その先に田園風景が広がっています。
南側は、同じような敷地があって、量産型の住宅が建つ予定でした。
(「アオハダの家」よりも後に、工事が始まったものの
量産型の住宅は先に完成しました)

「アオハダの家」の建主さんより、
『北の田園風景を生かした家にしたい』とお話がありました。
この敷地を選んだ理由は、田園風景の良さがあったからということです。

そこで、家を北に向けつつ、南からも陽射しを取り込む方法を
考えていきました。1階でも2階でも、ロフトからでも
北に広がる田園風景をのぞめるように開口部を設計し、
同時に南の庭にもつながる空間構成にしました。

その結果、建物は敷地に馴染み、
「昔からここに建っていた」かのような感じになっていますし、
敷地と家が相乗効果によって、お互いの良さを
引き立てあっているように感じました。

「アオハダの家」は、
千葉市都市文化賞で優秀賞に選ばれたのですが、
表彰選考部会長で建築家の栗生明さんが以下の
フランクロイドライトの言葉を紹介しています。

『そこが美しい敷地だったことは、
   その家が建てられるまで、誰も気がつかなかった』

敷地は建物が建ったことによって、その良さに気がついた
ということです。

建物は敷地に影響を受けるものですが、
敷地も、そこに建つ建物によって良くも悪くもなる
可能性があります。

どんな敷地を選べば良いか?
この問いかけに答えることは難しいのですが、
その土地を好きになれる要素があるかどうかが
大事ではないでしょうか。
それさえあれば、多少の問題があっても
その土地を選んで良かったと思えるように
なると思います。

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