言葉はものを正確に伝えられない
熊谷守一が
「一般的に、言葉というのはものを正確に伝えることはできません。
絵なら、一本の線でもひとつの色でも、描いてしまえばそれで
決まってしまいます。青色はだれが見ても青色です。
しかし言葉の文章となると、「青」と書いても、
どんな感じの青か正確にはわからない。
いくらくわしく説明してもだめです。
わたしは、ほんとうは文章というものは信用していません。」
と「ひとりたのしむ」の中で書いている。
これに私も同じような気持ちがある。
いくら言葉でいろいろな良いことを言っても
具体的なものにはならないことが多い。
そんなときに、言葉の頼りなさを感じて
焦ったくなるときがある。
そればかりか、言葉だけでは
私とあなたが同じものを瞼の裏に
映し出すことができないことが多い。
もし、家をつくるための図面を図でなく言葉で表現するとしたら
ものすごく長い文章になるだろうし、それでも伝えきれないことが
多くあるだろうと思う。
図面は、描き方によって、
図を超え、気持ちも伝えることのできるものになる。
