家づくりでの工夫
現在、私のアトリエでは
トイレの改修工事をしている最中です。
いままでの家づくりに併せて、
今回のトイレの改修でわかったというか、
経験上知った家づくりの工夫、
とりわけコストを下げる工夫について
少しだけですが書いてみたいと思います。
1)物理的なこと
なんといっても、規模や範囲というものが
建築費に与える影響は大きいので、
如何に規模(高さ方向も含め)や範囲を
小さくしていくか、ということが大事になってくるのですが、
家族が4人ですと、ある程度の大きさの家が必要になります。
そこをどうやって工夫で抑えていくか?
ということになっていきます。
私の場合、家族で使うスペース、
例えばリビングやダイニングなどは
ある程度広々と感じられる空間を確保して、
寝室や個室は、ほぼ寝るだけなので
ベッドや机を図面の中に置いてみて
大丈夫なくらいのギリギリの広さで
つくる事が多いです。
平面的に狭すぎるなという場合は、
ロフトを寝室や個室に設けることもあります。
例えば「ぼくらの家」の寝室や子供部屋、
「白子の家」の子供部屋がそうです。
「白子の家」の場合は、子供部屋が小さくても
家族室というリビングにスタディスペースを
設けてあるので、そこで勉強をするから
子供部屋に机が不要で、部屋を小さくできました。
リビングやダイニングでも、広ければいいということではなく
「広く感じる」という感覚が大事だと思います。
ですから、それほど広く取れなくても
どうやって「広く感じる」という感覚をつくれるか?
を考えて工夫した空間になるようにします。
例えば「平屋22」のダイニングやリビング、
「私の巣」のダイニングなどがその結果です。
2)工務店の特徴に合わせた設計
工務店といっても、いろんなタイプの工務店があります。
タイプ1:会社組織になっていて、監督や設計、事務員は社員で
大工さんや左官屋さんなど職人さんは、その都度
外部から来てもらって家づくりをする工務店。
タイプ2:監督や設計、事務員に加えて大工さんも社員になっていて
左官屋さんや基礎屋さんと言う下職さんは外注という工務店
タイプ3:大工さん自身が社長という工務店。
下職さんは外注。
まあ、ざっと設計事務所との家づくりをする工務店はこの3タイプ。
それぞれ特徴があって、その家の設計内容に合った工務店さんを
選ぶべきですが、今回はコストについて考えるということですので
そういう観点から見ていくとタイプ3がいいです。
なぜかというと、もちろん規模的なこともあって経費が安く済むという
こともあるのですが、それよりも、大工さんの人件費に関する考え方が
コストに影響を与えてきます。
タイプ1の場合、外の大工さんに大工工事をお願いするので、
1日幾ら、または1坪で幾らというように
数量で人件費が機械的に決まりがちですし、
途中で予測していなかった大工工事が発生した場合も
工務店さんは大工さんにその分お支払いするので、
タイプ1の工務店さんはそのことを見越して
見積をするという傾向にあります。
タイプ3の場合は、自分が大工なので、
途中で予測していなかった工事が発生しても
誰かに支払いが発生することはなく、
自分自身の工夫次第でなんとかしています。
*追加変更工事は、予測していなかった工事とは違うので
当っ全追加費用が発生します。
タイプ2の場合もタイプ3とほぼ同じですが、
社員大工と自分自身が大工というのは少しだけ
人件費に関する意識が違っています。
外壁を板張りにする場合、
タイプ1の場合ですと、大工工事の人件費が
外壁面積分そのまま上がります。
タイプ3の場合は、タイプ1に比べて
他の仕事もしつつ外壁工事をする意識がありますので
少し少なくなる傾向があります。
タイプ3の工務店は大工工事において
「工事間で作業時間が重複するところがある」
という意識があるのではないかと思います。
従って、タイプ3の工務店に大工工事を多めにした
家づくりを依頼するのがコストを抑える工夫の一つに
なると私は考えています。
*その代わりに、工事期間は長くなります。
3)工種を減らす
タイプ3の工務店に依頼し、外壁を板張りにする
というのは工種を減らすということでもあります。
例えば外壁を土塗りにした場合、左官屋さんが必要になり
タイプ3の工務店であっても工事費は高くなります。
材料費の兼ね合いもありますから
内壁を板張りにして内装屋さんの代わりに
大工さんに仕上げてもらうというのは
材料費も人件費も増してしまいコストダウンになりません。
屋根を工事する板金屋さんに外壁も仕上げてもらう
ということになれば、同じ職種の人が工事をすることになり
諸経費も安く済むという事があります。
如何に工種を減らしながら暮らしにあった空間をつくれるか?
設計上で工夫していくようにしています。
4)支給する。施主工事にする。
工務店によっては施主支給や施主工事を
受け入れてくれない場合がありますので最初に確認しましょう。
施主支給で便器や水栓金具(蛇口)、給湯器、ガスコンロ、換気扇などを
支給するとかなりの費用を抑える事ができます。
ただし、工程に合わせて現場に納品したり、
荷受けをしたり、梱包材を処分したりなど、
それなりの苦労があります。
支給したものが不具合を起こした場合は、
自分でメーカーなどに対応しなければなりませんし、
何よりも、自己資金が必要になります。
施主支給をして、いままでの経験上、最大で40万円ほど
費用を抑える事ができましたが、
そういった苦労や準備が必要だということを念頭においてください。
また、床の塗装や建具(ドアや引戸)の塗装を自分ですると
塗装工事の費用が抑えられます。
床や建具に塗る塗料は天然系の塗料ですから
塗装すること自体は簡単なので問題ありませんが、
塗る前の養生作業は大変です。養生する前に掃除もしないといけません。
塗装自体は簡単なのですが、とても根気のいる作業で、
最初は楽しいのですが、だんだんと苦痛になってきます。
それでもやり通さなければなりませんから
覚悟を決めて行う必要があります。
塗料はもちろん、養生材や道具も自分で用意する必要があります。
天然系塗料は、塗装の際に使ったウエス(布切れ)が
自然発火しますので、必ず塗装後に水を入れたバケツにウエスを
浸しておくというような後処理も大事です。
「DL HOUSE」は建主さんが床の塗装をしました。
「私の巣」と「白子の家」は、建主さんが床や建具の塗装に加え
外壁の塗装も行いました。
今日は、家づくりのコストについての工夫について
4項目挙げてみました。
もっと細かなものもありますが、
それはまた別の機会にブログにアップしたいと思います。
今回あげた方法や考え方については、
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