飾りたい

昔、尊敬する建築家に

（要求されていなくとも）
「棚をつくっておくと、建主さんは何かを飾る」
（から、棚をつくると暮らしが楽しくなる）

と教えていただいた。




そういった棚とは違うが、

ダイニングに面したキッチンの棚板をつくった。
そこに建主さんが家族の写真や
子供が描いた絵を飾った。

棚があることで、建主さんの

“ 飾りたい ”

という気持ちが湧いてきたのかもしれない。

お蔭で、ただの白い板を横に置いただけなのに
賑やかな壁面になった。

建築家が本当に伝えたかったことは

「設計者だけでは良い家をつくることはできない」

ということだったのかもしれない。
設計者ができるのは、
せいぜい棚をつくることくらいで、
その家に必要なものを飾ることができるのは
建主さんだから。




千葉県「四街道の家」
写真　小泉一斉




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