「建具」 玄関ドア・引戸

いろいろ

今日も引き続き、「建具」について
紹介していきたいと思います。

住宅(建築)において、
「建具」が空間や機能に与える影響は大きく、
見た目はもちろん、触り心地、開閉方法など
設計のときに考える要素がたくさんあります。

*「建具」とは、引戸や開戸(ドア)、襖や障子など
 一般の方から “ ドア ” と呼ばれているものを意味しています。

目次
1.障子
2.木製サッシ
3.内部建具
4.玄関ドア
5.引出
6.扉、取手・ハンドル
7.アルミサッシ

今日は、住宅の顔ともいうべき「玄関ドア・引戸」です。

一般的には、アルミの玄関ドアや引戸が多いですが、
家に入るときに
一番最初に手が触れる建具が「玄関ドア・引戸」なので、
建具屋さんにつくってもらった木の扉の方が
家の玄関としてはふさわしいように思って、
いつも木の建具としてつくっていただいています。

できる限り幅を広くし、入りやすいだけでなく、
荷物を通しやすくしたいと思って設計しています。

木でつくるので、雨や紫外線から守るために
少し奥まったところにつくるか、
深い庇をかけて、
雨や紫外線から「玄関ドア・引戸」を
守るようにつくっています。

そうすることで、
玄関に出入りする際に、
人間自体も雨に濡れることなく
鍵を開けたり閉めたりが難なくできるので
奥まったところにつけたり、庇をかけたりすることは
利用する人にとっても、優しいつくりとなります。

以上のようなことを踏まえて
これからいくつかの事例を見ていきたいと思います。




千葉県「鎌ケ谷の家D」の玄関ドアから。


撮影 小泉一斉

かなり奥に引き込んだところに
玄関ドアを設置しています。

このことで利用する際に、
物理的にも精神的にも、ゆとりをつくり出します。

またこの玄関ドアは上枠を消して
ポーチの天井と玄関の天井をつなげることで、
玄関ドアを開けたときに内外のつながりが生まれるという
演出をしています。

この玄関ドアの図面は、

袖ガラスは、防犯合わせガラスの上に
ペアのLow-Eガラスにして
防犯性と断熱性を高めつつ、
視覚的にポーチと玄関をつなげる効果があります。




埼玉県「蓮田の家」も、千葉県「鎌ケ谷の家D」と
同じような玄関ドアのつくりになっています。


撮影 白石隆治

埼玉県「蓮田の家」は二世帯住宅で、
玄関は共用で、玄関ホールで
親世帯、子世帯が分かれるようなプランになっています。

一度に二世帯の家族が出入りしても
十分な広さのホールとポーチを用意して、
玄関ドア自体の幅も広くしています。


撮影 白石隆治




埼玉県「椿山の家」の場合は、
外壁の仕上げ材の納まりの関係で
ポーチの天井を上げたために、
玄関ドアの上に玄関ドアと同じ板を張って
スッキリと見せています。


撮影 小泉一斉

また玄関の換気や、家全体の通風のために
玄関ドアの脇へ袖ガラスの代わりにオーニング窓を設置して
玄関ドアを閉めた状態で換気できるようにしました。


撮影 小泉一斉

雨仕舞いなど結構難易度高めでしたが
工務店さんの知恵をお借りしながら
上手く納まりました。
その図面がこちらです。






千葉市「おゆみ野の家」も、
玄関の前に広いポーチをつくり、
雨や紫外線からドアと人を守るつくりにしています。

この玄関ドアの袖ガラスには
棚板をつけて、鍵や靴べら、
今ならアルコールの消毒液などを
おくことができるようにしました。






千葉県「西船の家」では、
袖ガラスの無い玄関ドアにしていますが、
その代わりに、北側に換気できるサッシを入れています。

庇の代わりに、2階の床を跳ね出しています。


撮影 垂見孔士

限られたスペースでしたが、
細かな寸法の操作や納まりを検討し、
できる限り玄関ドアの幅を広く確保しました。






野口修アーキテクツアトリエでは、
玄関を引戸にすることが多くあります。

その一例として
千葉県「印旛の家」を紹介します。

まずは図面から。

引戸の場合は、戸尻(戸の後ろ側)で
戸が閉まったときに、エアタイトになるように
つくっています。

一見、なんの変哲もない引戸に見えますが、
つくるのは結構大変です。




同じ引戸でも、ガラスの框戸にしたり、
少し特殊な玄関引戸にしたのが
南房総市「白子の家」です。


撮影 小泉一斉

玄関引戸廻りは、製作のFIX窓になっていて
それらの納まりを考慮しつつ
無理なくスッキリした玄関引戸の枠をつくり、
ボテボテしすぎない外観を目指しました。

大工さんが上手に枠をつくってくれて、
建具屋さんがその仕事に応えるように
良い引戸をつくってくれました。
そして、その引戸を建主さんが
大事に使ってくれています。




玄関ドアや引戸は、その家に入るときに
一番最初に出会うものですから
きちんと人が考えて、
人の手でつくり、
大事に使って行っていただく
ということが理想だと思います。
その理想を今後も続けていきたいと
思っています。

明日は、「引出」について書く予定です。

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