「建具」 障子
今日から7日間、「建具」について
紹介していきたいと思います。
住宅(建築)において、
「建具」が空間や機能に与える影響は大きく、
見た目はもちろん、触り心地、開閉方法など
設計のときに考える要素がたくさんあります。
*「建具」とは、引戸や開戸(ドア)、襖や障子など
一般の方から “ ドア ” と呼ばれているものを意味しています。
目次
1.障子
2.木製サッシ
3.内部建具
4.玄関ドア
5.引出
6.扉、取手・ハンドル
7.アルミサッシ
初日の今日は、「障子」を見ていきます。
「障子」というと、
和室にあるイメージが強く、
少し古臭い印象を持たれる方もいらっしゃると思います。
私が普段取り入れている「障子」は、
和室よりもむしろ、
リビングやダイニングの空間で使いことが多いです。
「土間から四季を、呼吸する家」土間リビング
葉山の「土間から四季を、呼吸する家」は、
土間リビングと板の間の窓に障子を設置しました。
障子を閉めると、
光が柔らかくなり雰囲気がガラッと変わります。
障子は、壁の中に全て引き込まれ、
開けると、窓いっぱいに外の景気が室内に入ってきます。
大きな窓に障子を入れることで、
窓からの冷気を防ぎ、断熱効果を高めます。
南房総市「白子の家」でも、
同じように、大きな窓に壁に引き込める障子を入れて
外とのつながり方をコントロールしています。
千葉県「鎌ケ谷の家D」では、
ダイニングスペースの角に設けた窓に
引き込み障子を入れています。
閉めたときと開けたときの室内の印象が
だいぶ変わります。
冒頭の「土間から四季を、呼吸する家」も、
この「鎌ケ谷の家D」も障子廻りの枠をなくして、
壁の中に障子だけがはまっているようにして
より障子を印象的なものになるようにしています。
また、上の3つの住宅の障子は、
框と桟の太さを同じにして、
閉めたときに一枚の障子に見えるようにした、
いわゆる「吉村障子」にしています。
埼玉県「椿山の家」は、
ダイニングと、それにつながるスタディスペースの窓に
引き込める障子を入れています。
「椿山の家」では、
障子を桝格子にせず、
縦桟を強調したデザインにしつつ、
重心を低くすることで室内が広く感じるので、
1本入れた横桟を中心より少し下に入れています。
「吉村障子」に倣い
桟と框の太さを同じにして
閉めたときに、一枚に見えるようにしています。
「障子」というと、和室のイメージがあったと思いますが、
無垢の板を張った部屋にも、
工夫することで効果的なインテリア要素になると同時に、
断熱効果を高める機能も付加され、
外部からの視線を止めたり、光を柔くしたり、
そこにいる人の精神にも作用する優れた建具ということが
伝わりましたら幸いです。
特に、壁に引き込めるようにすることが大事だと
私は思っています。
いくら優れた障子であっても、
開けた状態で窓の半分を隠してしまうのでは
効果が半減どころか、
8割くらい効果がなくなるという感じがします。
ですので、障子を入れる場合は、
ぜひ壁に引き込むことを前提に
ご検討いただければと思います!
(* 画像は全て 撮影 小泉一斉)
明日は、「木製サッシ」についてお伝えします。