どうやって設計をしているのか?
7)「設計は図を描くことではない」

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私は野口修アーキテクツアトリエという木造住宅を中心に
千葉市の稲毛区というところで設計事務所をしています。
独立して22年を超え、今までの設計を振り返って考えることも
多くなりました。
設計をどうやってるのか?を
わかりやすくお伝えしていくことが、設計事務所や建築家の
敷居を本当の意味で下げることの一つだと思いまして、
今日から10回に分けて、
建主さんと出会う前から最初の案をお出しする
プレゼンテーションまで、
私が「どうやって設計しているのか?」
をできる限りわかりやすくお伝えしていこうと思います。

それから先の設計につきましては、
また機会をつくって、お伝えさせていただきます。


野口修一のプロフィール


目次

第1回 「実は “ お仕事 ” では無いんです」
第2回 「あなたの依頼がなくとも、あなたの家の設計はすでにはじまっています」
第3回 「わかりやすい言葉にしていく」
第4回 「設計が始まるきっかけ」    「建主さんを知るために聞き、話し、考える」
第5回 「敷地を読むとは、敷地を味わうこと」
第6回 「役所に行くのは自由度を得ようとするため」
第7回 「設計は図を描くことではない」
第8回 「パースは、建主さんと自分自身に伝えるもの」「全体と部分を確認できる。それが模型」
第9回 「カタチを言葉に戻す。これが大事」
第10回 「設計(プランニング)の過程を整理する」「一緒に家をつくるために、まずは一人で」




第7回 「設計は図を描くことではない」

やっと、役所で自由度を上げるところまで説明できました!

ヒアリング、敷地を見る、役所調査を終えて、
いよいよプランニングがされていきます。
実際は、ヒアリングが終わった段階で、脳内には
ボヤッとした空間が浮かんでいるのですが、
脳にあるものを手を使って紙に描き出すというのは
この段階からになります。

「描く」と言っても、図を描くのとは私は違う感覚です。
まずは、法もお金も関係のない、ある意味純粋な状態。
建主さんのご要望とその敷地の条件からのイメージが
目蓋の裏に出てきて、それを手を使って図にしていくというものです。
それを経て、今度はそのイメージに法やお金の条件も加えて
現実化していきます。
ですのでここでつくるものは「間取り図」とは似ているけれど、
全く違う3次元的なものです。
設計をはじめたばかりのときは、
自分自身の空間認識の整合性を高めるために、平面(間取り)を考えるときは
断面(立体)のことを思い、断面(立体)のことを考えるときは平面(間取り)
のことを思いながらやっていましたが、経験を重ねた今は、それを同時に
行っていると言う感覚です。
表現は図という2次元なのですが、プランは3次元の要素でつくられています。
それに加えて、そのプランが成立するかどうかを
まだプランが確定する前の段階で、
カメラのピントを合わせるかのように細部を検討し確かめたりもします。
設計を始めたばかりの時は、プランニングの段階で
いちいち各部分の詳細を検討していたので、ものすごく時間がかかりました。
「本当にこれってつくれるの?」と、経験が少ないことからくる
心配が多くて、いちいち検討していたのでした。
そのようなことを何度も繰り返すうちに、全てを検討しなくても
つくれるかどうかわかる部分が増えましたが、
今でも、いままでつくったことのないことをやることもありますし、
細部がさりげなくできて機能上も問題ないつくり方にできるかどうかの
検討をこのプランニングの段階で行って、プランニングの完成度を高めています。
絵に描いた餅にならないようにという感じです。

こうしてうまい具合にプランニングができれば良いのですが、
実際は、目蓋の裏のイメージと現実が簡単に一致することはなく
何度もやり直してようやくプランの骨格が決まってきます。
それを更に見直し、少し寝かせ、見返して問題ない状態になったら
ようやく一旦、プランが完成します。


            <リノベーションのプラン>

つづきます。


野口修アーキテクツアトリエの設計事例
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