材料

日記, いろいろ

素朴な材料

いま、木材について考える仕事をしていて、

私が設計する家で使っている(使ってきた)材料について考えているのですが、

ほとんどが高級材では無くて、杉や桧、椹の針葉樹ばかりで、

それも節のあるものを良く使っています。

この考えは“材料ありきで考えていない”ということとも言えます。

もちろん、材料が持っている魅力、例えば杉で言えば「柔らかくて踏み心地が良い」

というものを設計の中で利用していますが、それが無くても成立する空間を

つくった上で、そこに「材料の持っている魅力」を加えていくという考えです。

一方で、そう言う考え方ですと“どんな材料を使っても良い”という考えにも

なってしまうのですが、どんな材料でも良いからこそ、

逆に使う材料に縛りを私なりにかけて“フェイク材を使わない”としているのです。

ビニールクロスが良いか悪いかは、

私にとってそれほど大きな問題では無いのですが、

ビニールクロスがフェイク材であることが私にとって問題なので、

私が設計する家には使っていません。

合板の上に薄くした木を張った複合フローリングも、

木の床であるかのようにしたフェイク材ですので、

これも使いません。

どうせなら、合板のままの方が良くて、合板のままであれば

使うこともあります。

※建具は、どうしても狂ったりするので、フラッシュになります。




材料ありきの設計では、そもそも設計している様な実感がわきませんし、

まずは、空間をつくらなければ、依頼して下さった方に「設計しました」と

胸を張って言えない気がします。

ある意味、材料に過度な期待をしていないということです。

逆に、材料のことを全く考えずに空間だけつくるのも、

フェイク材は、時間経過で劣化するだけですが、

そうでないもの、例えば、木であれば時間経過で

味が出てくるという、時間を演出に使えると思います。

そして、木の様なものは、

将来土に還すことができやすかったり、

使っている間も、化学物質を揮発しないなど、

副産物的な効果も期待できます。


ですので、私は、まずは空間を考え、

その空間を更によくしてくれる材料を

建築費を考えながら選ぶという、設計方法をとっているんだ

ということを、今回、改めて自分自身が再認識できました。

こういう考えが、素朴な住宅づくりに繋がればと思っています。

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