減り張り

趣味と暮らす家

現在設計中の
千葉県鎌ケ谷市「趣味と暮らす家」。

打合せを重ね設計内容が決まったところで
1/50スケールの模型をつくり、
建主さんと一緒に確認をし、
次のステップへ進むことになったのですが、
冒頭の模型写真にある2階の横長の窓について
設置しない方が良いのでは無いかと、
ご夫婦で話し合っているという。

この窓がある部分は寝室の北面になるのですが、
そこに奥様のリモートワークのスペースがあり、
「そこから外を見たい」
ということで、窓の大きさや位置を検討し、
道路や道路の反対側の隣家からの視線を
避ける位置の窓になったのでしたが、

「寝室なので、窓が多過ぎないか?」
「寝室の落ち着きが損なわれないか?」
「北面に窓があると寒くないか?」

ということが心配になったということです。

「野口さんは、どう思われますか?」

の相談をいただき、

「私は、この窓がないメリットよりも
あることのメリットの方が多いと思います」

と解答しました。
確かに窓がないことで寝室の安心感は増しますし、
窓にするよりも壁にした方が断熱性能は高くなります。
しかし、外部からの視線をかわしながら空を見ることができる、
風を通すことができることの方が大事だと感じてますし、
壁ほどの断熱性能ではないにしても
窓からの冷気を抑える方法は別にありますし、
暗くしたいのであれば、色々やりようがあります。
窓を無くしてしまうと、
こうした機能を無くしてしまうことになるので
窓があった方が良いのではないかと考えました。

実は、規模を検討している最中で
リモートワークスペースの位置と
窓の関係がズレたので、
私は、この窓を無くす案を提案していたのですが、
建主さんが「窓をつけたい」というご要望があって
改めて窓の位置やサイズを検討し始めたときに
私自身、
「あー、この窓をつけることには、いろんな意味があるなー」
と、気づきました。
こうして建主さんのご要望から
気づきをいただくことは、とても多いです。

ここまで窓があることの良さについて
だいぶ書いたのになんなですが、、、

「この窓を無くしたいのですが」

という建主さんからのご相談を受けて、
確かにそういう感覚もわかると思いました。

先述したように、
窓があるメリットを感じつつも、
心のどこかで、窓があるデメリットについても
感じている自分に気づきました。

窓をつけて風通しが良くなれば良いというものでもないし、
外を見たくないときだってある。
そんなときは、外の景色より
壁にかけた一枚の絵を見た方がよっぽど良い。

窓のある無しに正解はないんです。
どちらも正解だし、どちらも不正解になり得る。
だからこそ悩むのですが。

結局、建主さんには
「もう少し考えて、結論を出すのは先にしましょう」
とお伝えして受話器を置きました。

この窓が付く面は、それほど広くない道路があり、
道路の反対側にも、その面を南側とした住宅が
立ち並んでしますし、
この家にとっては北面ということもあって
窓は、今検討しているものとポーチの窓だけという
閉鎖的な表情になっています。

対照的に、東面や南面は
全開できるサッシを使い
大きくな窓で外に開いた表情になっています。

道路幅員が4M程度の住宅地では、
道路面が北側の場合、
プライバシーの確保、断熱性能のこともあって
閉鎖的になりがちで、
その代わり条件の良い東や南に大きく開く
という傾向が強くなります。

そのとき、
「どう閉じて、どう開くか」
ということがとても大事で、
設計者が、その敷地をどう読んで、
建主さんが望んでいる暮らしを
どう実現させようとしているか。
それがその家の個性となって出てくるので
開き方(閉じ方)の減り張りがとても大事だなと
改めて感じた出来事でした。




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